2008.9.13  第57回東日本整形災害外科学会 一般演題抄録
枕調節を用いた肩こりの治療評価ーMRIを用いて
Assessment of therapy of neck pain and stiffness by the adjusted pillow, using MRI

【はじめに】
日本国民の最も多い愁訴に肩こりがある。我々は枕調節法SSS法を用いて、寝返りを促す枕の高さを決定し、静的睡眠姿勢と動的睡眠姿勢を整え、肩こりの改善を検証してきた。今回は、症状の改善した症例の静的睡眠姿勢を、MRIを用いて評価した。

【対象】
肩こり、頚部痛を訴えて来院した症例の頚椎の動態MRIを撮影した177例、男性62例、女性115例、年齢18~83歳、平均52.9歳を対象とした。仰臥位で枕なしと至適高さの枕における頚部脊柱管および頚髄の状態を評価した。

【方法】
MRIT2強調画像矢状断で、解剖学的に脊柱管の広い第3頚椎椎体レベル(C3)と、各症例の病変部である最狭窄部(N)の脊柱管径と、同部における脊髄径を計測し、比較した。背柱管を狭窄する前方要素として椎間板のbulding、herniation、骨棘、後方要素として黄色靱帯の肥厚、骨性狭窄などがある。

【結果】
脊柱管径は、枕なしでC3 11.35mm、N 8.71mmが、至適枕でC3 11.56mm、N 9.40mmと拡大した。脊髄径は、枕のない状態でC3 6.48mm、N 5.65mmが、至適枕でC3 6.59mm、N 5.85mmと拡大した。

【考察】
至適枕でくも膜下スペースが椎体各レベルで拡大が見られ、頚髄のアライメントが改善した。背柱管を狭窄する前後要素による脊髄の圧排が解除され、脊髄刺激症状が減少することが画像的に証明され、臨床評価を裏付けるひとつの根拠となった。